時々私たちが怪我をしたときに見る白い膿が白血球の塊です。 アトピーの原因やがんの治療など免疫が重要な役割を担うことが多くあります。 私たちの体の中にある免疫の仕組みを説明していきます。
免疫を知ることの難しさ
サプリメントなどの健康食品や少し風邪を引いた時にでも免疫を理由にすることがありますが、体の防衛反応全体を総称しているだけの便利な言葉となっています。実際、呼吸をする肺やポンプの役割をする心臓のように1つの組織が1つの役割を持つのではなく、体全体に張り巡らされた防衛する仕組みのため捉えどころがありません。医療や生物学の世界では免疫は多く細胞が相互に関係し合うシステムです。そのために免疫の理解が難しくなっていると思います。
実際に免疫は循環器の仕組みやリンパ系に分類されます。酸素や栄養やを供給する循環器の仕組みに身体防衛の役割を担う細胞も混ざっています。扁桃腺で有名なリンパ節など免疫機能が働きやすい場所もあります。
免疫細胞は1種類の細胞から始まる
免疫細胞の種類が多く混乱しますが、実は元は1つの造血幹細胞からできています。一般に脳のように一度出来上がったら組織が増えない細胞と異なり、造血幹細胞は大腿骨などの骨髄で分化・増殖しています。T細胞は骨髄で元の細胞ができ胸腺で完成されます。B細胞とT細胞を覚えは簡単でBがBone-marrowで骨髄由来、TがThymusで胸腺由来の頭文字になっています。 マクファーレン。バーネットのクローン選択説から言えることは、骨髄で多様に分化・増殖することが病原体の認識の根幹になっているということです。
白血球の分類
- 血球(自然免疫)
マクロファージ(食細胞)・・・異物の捕獲
樹状細胞(APC)・・・ 情報獲得
好中球、 ・・・ 異物の捕獲
好酸球(寄生虫に対して働く)、
好塩基球(粘膜での感染防衛) - リンパ球(獲得免疫)
T細胞
Th細胞(ヘルバーT細胞:Th1/Th2)
Treg細胞(抑制T細胞)
killerT細胞(キラーT細胞)
nkT細胞(ナチュラルキラーT細胞)
・・・自然免疫と獲得免疫の中継
B細胞 →(活性化)→ プラズマ細胞(抗体産生)
B細胞のレセプターの一種が抗体です。
免疫グロブリン(Immnogloblin:Ig)は抗体と呼ばれます。その正体はB細胞のレセプターです。抗体には異物を受け止める可変部(L鎖)と普段は細胞に刺さっている定常部(H鎖)があります。B細胞は活性化ヘルパーT細胞により活性化することでプラズマ細胞となりレセプターを抗体としてばら撒きます。
免疫グロブリンの種類
- IgG
全体の75%を占める。血液に多く存在する。 - IgM
五量体として存在。体に初めて侵入してきた時に作られる。 IgMを産生するプラズマ細胞は定常部分のH鎖が置き換わってIgGを作る細胞に変化する(クラススイッチと言われる) - IgA
二量体として存在。血液の他に母乳、唾液、腸内に存在する。 - IgE
アレルギーを起こすことで有名。肥満細胞に働きかける。 - IgD
確かな働きは分かっていない。
非自己の認識。HMCクラス2と抗原提示細胞
我々の細胞は頭のてっぺんから足先まで1つの遺伝情報からできています。 主要組織適合性遺伝子複合体(HMC:major histocompatibility complex)という分子が全ての細胞表面にあり、免疫を担う細胞は細胞レベルで自己を認識しています。 ウイルスに感染した細胞でDNAからペプチドが作られると小胞体内でHMCクラスⅠが補足し、細胞表面にあらわれます。CD8という分子を出しているキラーT細胞(CD8陽性T細胞)でMHCクラスⅠに異物が捕捉されていることを認識し、感染した細胞に穴を開け死滅させます。
B細胞や樹状細胞にはHMCクラスⅡを持ち、抗原提示細胞と呼ばれます。HMCクラスⅠのように非自己と見なされないので、抗原提示細胞は食べた病原体の情報を他の免疫細胞に伝えることができます。樹状細胞(APC)は病原体などの高原の特徴を定時するためだけに特化した細胞と言えます。抗原提示細胞からの情報はCD4という分子を出しているヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)で受け取られます。
まとめ
入門編としてがんやアレルギーに関与すると言われる免疫が異物を排除する仕組みを説明しました。 アレルギーでは免疫が過剰に応答します。がんではアネルギーといい免疫が一時的に反応性を失った状態が知られています。 T細胞やB細胞が相互に調整する仕組みは別途記載します。