2017/09/26

事後解析が論文に出てくる状況


医療系の文献の事後解析を読むときに少し難しさを感じます。
文献には、よくad-hoc(アドホック)とpost-hoc(ポストホック)と記載されています。

ad-hocは「特にこのために、その場しのぎに、特別に」 、post-hocは「事後の」の意味です。

臨床試験では、一般に予め決められた主要評価項目や副次評価項目で比較する群の優越を解析します。きちんとした臨床試験では、参加された方も多くなります。

ところが、やはり臨床試験ともなると、同一の条件で試験をしているので、いいデータが得られています。データを使い切りたいという要求や、何か少しでも傾向を掴みたいと思う気持ち、もしくは、真面目に考えている方には失礼な話かもしれませんが、単に論文数を稼ぎたいだけの場合もあるかもしれません。こう言った本来目的とは違って得られたデータから分析を試みます。これが事後解析が行われる背景です。事後解析で何か結果が得られたように思えても、そうかもしれないぐらいに考えた方がいいかもしれません。
事後解析をした際に、文献が読みにくい原因は、おそらく、後から理由づけしようとしているからだと思います。

一般に、多重比較の問題で、比較の回数が増えれば、まぐれ当たりが考えられます。
つまり、どこかで有意差が出てくることもありうるということです。そのようなことを避けるために、ad-hocやpost-hoc解析する場合には、多重比較での結果や検定法が書かれています。調整の方法にいろいろな種類があり、話を難しくしています。

今の時勢、医療の世界で事後解析は研究の方向性を指し示すにはいいかもしれませんが、その結果を持って、(男性より女性に効くとか、高齢者で分析したなど)ある特定の集団での薬の効果が保証されるものにはなりません。
事後解析がなければ、薬の可能性も出てこないので、事後解析のような途中のものを今後、どのように医療の世界で扱って行くのか、興味があるところです。