どのような状況で医療統計が求められるのか。
医薬品の資材で統計用語が書かれていると難しいと、分からないと職場内や 客先から言われることがあります。医薬品そのものは注射液や 錠剤の形をしているので、外観だけでは、どれくらい病気に効くのか安全なのかは分かりません。添付文書やその他の資材で説明するために統計学が用いられます。見過ごされる統計用語
グラフや表はそもそもは数値の特徴を 視覚的に見せるようにするものですが、 似たようなグラフや表の中に脚注のように検定法が書かれているのを見て読み流しているような実態もあります。本来、グラフや 表に書かれている内容は統計の基礎があってこそ理解されるものです。しかし、医療・医薬品の説明の現場では見て見ぬ振りをされてきた状況があります。医療統計の難しさ
医薬品の内容を理解しにくくしている問題は資材を提供する側が文系のライターにより書かれたもので、1つには、文献の記載をそのまま載せているような 送り手側の 理由もあります。例えば、1文献ではなく複数の文献からデータを 集めて資材を作成した場合に、 本来同じことを言っていることがあります。元の文献では言い回しを変えるために表現が変わっているところが、 資材になった時に別のことを言っているようなものもあります。
また、 もう1つには統計に入門しようと思った際に、通常は、 身長や体重、血圧値など量的なデータから 学習していくところを 最初から疾患特異的な指標であったり、最先端の統計手法であったりするところから学ばないといけないこともあります。
それらに加えて、統計 用語そのものの難しさもあります。 統計 用語は文章にされることがありますが、元々は数式で表されています。翻訳による問題なのか文脈による問題なのか、 同じ数式で表現されることろに別の用語が使われることがあります。
例えば、「変数」も「水準」も同じ意味で使われます。
この他にも、例を挙げると切りがないのですが、 回帰分析や回帰係数として出てくる「回帰」という言葉も「当てはめる」と置き換えられます。日常あまり使わない言い回しが出てくることもあります。
医療統計を学ぶにあたって
現場で使用されている統計が高度にも関わらず、統計 学のスタンダードな習得手順が 知られていないこと、習得にも 煩雑な用語を整理することも必要になります。これが医療の現場で統計を難しくしている原因と私は考えています。
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