ランダム化比較試験とマッチング法の比較
マッチング法には条件付き独立とオーバーラップ条件の2つを揃えることが必要です。そのため、ランダム化比較試験が前提としする完全な独立性よりも条件が弱いとも言えます。傾向スコアマッチングのほかにもマッチングを一般的に使えるようにしたものとして、最近傍マッチングやカリバーマッチングがあります。
医療に特化した書籍ではありませんが「Rによる実証分析」ではアメリカの絶滅危惧種保護法の効果(Paul J.Ferraro Journal of Environmental Economics and Management, 2007, vol. 54, issue 3, 245-261)をRで分析した例が載っています。タイトルや統計の解説はRですが、前半部分で回帰分析の基礎が数式を含めて十分に書かれています。
内因性問題。因果関係とはどういうことか。
見かけ上関連があるように結果が出てしまう内因性問題。疑似相関とも言います。 2つの事象に因果関係があるとは、下記の3つの条件を満たすことです。
- 2つの事象に関係がある。
- 2つの事象に時間的な順序がある。
- 2つの事象の関係が先に起こる事象の影響を受けない。
事象の中に見えない何らかの影響がないことが因果関係を説明できることになります。 実際には、事象の説明をするには単純なことではないので、内因性の問題がどの程度影響を与えているかで判断されることが多くあります。
傾向スコアマッチングの試験例
傾向スコアマッチングを用いている試験がありましたので紹介します。(18年7月8日追加)
交絡の要因を分析している例です。全身性エリテマトーデスが希少疾患の範囲に入る難病であることと長期投与であることから、比較対象である外部レジストリをから得たデータ指標日の調整を行なっています。これにより治療パターンの変化との交絡を最小限に抑えようとした試験です。
GSK、ベンリスタの長期投与による臓器障害進行抑制に関する 新たな結果を発表(プレスリリース)
GSK、ベンリスタの長期投与による臓器障害進行抑制に関する 新たな結果を発表(プレスリリース、PDF)
(参考)