概要
疫学研究にレセプトデータを使用する方法があります。
以前、大学や研究期間が一定の地域で行う疫学研究を以前紹介しました。
行政ではレセプトデータを医療費の管理から医療の質向上へと転換し 、 オープンデータとしても提供を始めています。製薬企業でも民間利用できるレセプトデータを活用し、研究発表が行われています。 疫学研究へのレセプトデータ活用について解説していきます。
以前、大学や研究期間が一定の地域で行う疫学研究を以前紹介しました。
行政によるレセプトデータの活用
平成26年度末時点で全セレプトの90%以上をカバーするデータベースにより治療の分析が大学や国の研究機関で行われています。レセプトデータとは診療(調剤)報酬明細書の通称です。病院に行った際にも明細書が渡され点数として初診料や再診料と書かれて難しく感じます。しかし、少し視点を変えて考えると、スーパーの買い物で受け取るレシートと仕組みとしては同じです。レジでは 野菜から調味料まで 買ったものの一覧が打ち出されていまが、医療費の場合は診察や検査、薬代の一覧が記録されています。
レセプトデータの活用は平成20年に医療費の管理をすることから始まりました。その2年後の平成22年に政府から医療費の管理だけでなく、医療の質を上げることに利用していく方針が示されました。このようにレセプトデータは 病気の発生頻度や分布を知る上で重要な役割を担ってきています。
レセプトデータの活用は平成20年に医療費の管理をすることから始まりました。その2年後の平成22年に政府から医療費の管理だけでなく、医療の質を上げることに利用していく方針が示されました。このようにレセプトデータは 病気の発生頻度や分布を知る上で重要な役割を担ってきています。
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の活用
このレセプトを中心としたデータベースは「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」として平成23年度から試行的に実施し、平成25年度から本格な運用がされています。レセプト情報のレコード数と健康診断に含まれる特定健診のデータを結び付けてデータベース化されています。データ件数も膨大な数になっています。
- レセプト情報 約15億9,800万件
- 特定健診・保健指導情報 約2,065万件
データベースに蓄積されたデータ件数(平成22年8月末時点)
明細書としての仕組みは一緒でも買い物のレシートとレセプトデータを同一に考えてはいけない大事な理由があります。それはレセプト情報には個人の名前やどういった病気なのか、何の診察をしたのか、どの病院を受診したのかといった個人情報が含まれるからです。国の法律では統計法第2条12 項で「匿名データ」とは何かということから厳密に管理されています。
○統計法第2条 12 この法律において「匿名データ」とは、一般の利用に供することを目的として調査票情報を特定の個人又は法人その他の団体の識別(他の情報との照合による識別を含む。)ができないように加工したものをいう。
第5回レセプト情報等の提供に関する有識者会議資料の資料4 他の医学研究指針との関係においても医学研究との関係が精査されています。統計情報としては、個人名を伏せたり、提供するデータを都道府県単位としたりすることで回避しています。
平成30年5月現在、審査に通った行政機関や研究開発独立行政法人、公益法人、大学にのみ研究目的でNDB情報を直接利用することが認められています。
また、NDB情報は研究目的以外にも公共性の高いデータをNDBオープンデータとして公開をされています。平成26年、27年に第1回、第2回NDBのオープンデータが公表されました。 医科・歯科の診療行為や処方薬(内服/外用/注射)、特定健診に 対して性年齢別や都道府県別数量でクロス集計した結果 が誰でも閲覧できます。
平成30年5月現在、審査に通った行政機関や研究開発独立行政法人、公益法人、大学にのみ研究目的でNDB情報を直接利用することが認められています。
都道府県別集計イメージ |