2022/05/05

社会人になる前に習得したい知識と技能

  

社会人になる前に習得したい知識と技能

コロナ禍でも時は流れます。会社では新入職員が入り、高校を卒業して大学生になる人もいます。今回のテーマは、なるべく社会で役立つ知識やスキルを身につける方法です。大学の今やZoomを使用してワードでレポートを提出くらいまでは行っています。アルバイトもしていれば、一般的な接遇などもマニュアル化されていることでしょう。それでも、社会人1年生を見ていると困っている姿を見ます。就職活動を3年、4年で行うとすると、実質自由になる時間は1年、2年の2年間くらいしかありません。もちろん、就職だけが全てではないですが、YouTubeでもスモールビジネスでも、自分で何かをしたいと思った時に、後から後悔しないように、今必要とされるスキルを身につける方法をご紹介します。



目的を固める方法か伝える方法か?

現実としては、スキルの習得という場合、ツールの使い方を考えることが多いが、実は、ツールを使う前段に問題を抱えていることも多い。何をしたいのか、何をやりたいのかが漠然としていて、それをまとめることができないということもあります。社会人の場合は、雇用関係がある以上、どこかで適性を見て入社していることなので、ある程度言いたいこと、表現したいものがあるだろうということで、ツール関係の使い方に絞ります。



ツールの使い方

ツールの使い方は、いろいろな資格やスクールなどの情報が溢れかえっています。結局、「どの情報を信じればいいのか」、「どこが元になっているか」が分からなくなります。恐ろしいことに、結局、分からない人は分からないままで過ごしてしまうのかもしれません。何かしら興味を持った人は、自分から調べることになるのかもしれません。知識や理解のある人がマンツーマンで向き合って教えるのが一番手っ取り早いのかもしれません。お互い時間やお金を無駄にしないためにも、誰かに聞くよりも先に、そのツールや分野が情報を知りたい人に合っているか、確かめた方がいいように思います。前提となる基礎の基礎は、1日から数日かければ下記のような場所で情報が得られます。


Apple Store

Apple storeは言わずと知れたAppleの実店舗になります。一見、製品を売るだけの場所のように思うかもしれませんが、実は、製品の使い方を含めたサポートをしています。Apple製品に限ると言うことになりますが、学びの場として、プロダクト、写真、ビデオ、音楽、プログラミング、アート&デザインの6つが準備されています。

Windows製品と異なりApple製品は作りたいものを最後まで作るためのアプリケーションを一通り揃えています。専門的になってくると購入した状態では物足りないこともあるかもしれません。もっとも、たとえWindowsしか持っていなかったとしても、製品の使い方を説明されることで、写真やビデオ、音楽の制作工程が分かるようになります。例えば、ビデオのセッションではMacに予め入っているiMovieの説明がありますが、制作会社ではAdobe製品を使うことがほとんどだと思います。それでも、動画を一度も作ったことがないような方にとっては、製品を理解すると言うより、作り方を見るという気持ちで概略を理解するようにしたらいいと思います。特に仕事とは関係なくなるかもしれませんが、YouTubeなどで動画編集をしたい場合など初めの一歩としては理解しやすいと思います。

ちなみに、プロダクトはMacやiPhoneそのものの使い方になります。意外な設定方法もあるので、iPhoneを持っている方は一度尋ねてみてもいいかもしれません。




Adobe

Adobeは知らなくても、「PDFファイル」を作った会社と言うと通じます。PDFに関して言えば、MacやWindowsなど特定の環境に左右されず、ほぼ同様の状態で文章や画像等を見ることができる電子文書フォーマットと言えます。元は1企業のファイル形式だったものが、2008年7月2日にISOと言われる国際標準化機構で国際規格として採用されました。そのため、官公庁や企業間のやりとりで広く使われています。パソコンを使っているならば、一度は使ったことがあるはずです。

アドビの社歴を見ていくと、パソコン、スマートフォン上のコンテンツ作成に大きな影響があることが分かります。黎明期には、パソコンとプリンタ間のデータをやりとりするアプリケーションの会社であったのが、イラスト作成のアプリケーションIllustrator、写真編集用のアプリケーションPhotoshopを発売し、印刷関係の業界標準となった。動画に関しても、Premiereと言う編集アプリケーションを販売している。パソコン機能の向上と共に、パソコン上でできる文字、画像、動画、音声など編集作業の業界標準となるようなアプリケーションを世に送り出しています。その間に、競合他社、いろいろな会社を飲み込む形で成長している。映像編集は、Premiere以外にもAppleではFinal Cut Proがありますが、開発者が同じ人であったります。

Adobeの躍進が、国際規格となるなどある程度オープンなものである一方、これらのアプリケーションを使用し続けないといけない状況があります。印刷に関しては活版印刷の頃から、動画に関してはフィルムの頃から、仕事として成立させるためのノウハウ、編集手法が蓄積されてきました。最近の動向としては、ByteDance(と言うよりTikTokの会社と言う方が分かりやすいかもしれないですが、)のような会社の躍進もあります。TikTokのような動画に特化したソーシャルネットワーキングサービスを持つ会社が自社のサービスに合わせやすいようにcapcutと言う動画編集アプリケーションも提供しています。新しい表現媒体が出てきたことで、もしかしたらイラストや動画などの編集手法も根本的に変わっていくのかもしれません。

印刷する画像や文字、映像に関しては、商業コンテンツに関しては、Adobeの製品が用いられることが多いのではないと思います。Adobe製品を使用した方が、まだまだ完成度が高いからです。それは、コンピュータが登場する以前から蓄積されたノウハウがパソコン上に再現されているからに他なりません。Adobeのサイトからチュートリアルと入門ページをリストにしました。製品そのものを使用するためというより、どのような工程が行われるのか一度見てみるといいかもしれません。



アプリケーションとしては下記が対応しています。


  • Premiere Pro 入門 : いわゆる動画を編集するためのアプリケーションがPremiereです。
  • Illustrator 入門 : イラストを作成するためのアプリケーションがIllustratorです。
  • Photoshop 入門 : 写真などの画像を編集するアプリケーションです。
  • After Effects 入門 : 映像編集用のアプリケーションなのですが、こちらはモーショングラフィックス(写真やイラスト動画に動きをつけたもの)などに使われます。VFXの業界標準ツールです。
  • Adobe InDesign 入門 : いわゆるページもの(DTP;desk top publishing)を作成するためのデザインツールです。チラシや見開き程度であれば、Illustratorでもできますが、ページレイアウトや文字組版をするような印刷物の作成にはこちらが使われます。


昔は買い切りも出来ましたが、今は月額利用になっています。ただし、学生・教職員向けには、利用条件にあるように割引制度があります。



マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)

マイクロソフト オフィス系のアプリケーション(ワードやエクセル、パワーポイント)をどこまで使いこなせたら、一通りできることになるのかを考えてみたいと思います。大学でもレポートや宿題の提出でワードやエクセルを使うことはあるようです。ワードは少なくとも触れたことがない人はいないのではないか。エクセルになると実験をする理系の学科では数値の計算をしなくてはいけないので、それなりに使用する頻度があると思われます。学内もしくは学外、例えば学会で発表する機会があれば、パワーポイントも使う機会があると思います。特に、コロナ禍でオンラインが普及した状況を考えると、資料を作成する機会や発表することも多くなっているのではないかと思います。
パワーポイントに関しては、資料の作り方、ツールの使い方というより、中身が問題のこともあります。華美な装飾が内容を分かりにくかったり、アニメーションが多かったりし、結局何が言いたいのか分からない発表を見かけることがあります。それでも、敢えて、オフィス系のアプリケーションについても言及します。それは、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)を持つ方から、スライド作成に関して知っていると便利なちょっとした小技を聞くことが多いからです。

MOSは、Microsoft Office製品の操作スキルを証明できる国際資格ということです。試験科目は、Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookの各アプリケーションについて、Officeバージョンごとにあります。試験は、本物のアプリケーションソフトをマウスやキーボードで操作して解答するそうです。参考までに、パワーポイントの試験範囲を見てみると、華美なほど機能を網羅しているように思います。



パワーポイントについては、伝えた内容をしっかりと定形のフォーマットに入れるようにしています。そうすると、レイアウトが自由な白板くらいのイメージになり、ほとんどパワーポイントとしての機能は使わないのですが、それでも、図形や印刷機能など知っていると便利なことはあります。



まとめ

どこから学べばいいのか、当たり前にあるものの背後に目を向けると、見えてくるものがあります。形のあるものは何らかの道具で作られています。特殊な伝統工芸などを除いて、一般に目に見えるくらい量産されているものであれば、コンピュータの補助を得ていると考えられます。パソコンやスマートフォン上で見られる、イラストや音楽、動画であれば、直接の作成者と道具の作り手に分業されているはずです。何か自分に足りないものを勉強したいと思ったら、どこかしらに取っ掛かりがあるはずです。そういう気づきを大事にしてもらえればと思います。


統計に関して、基礎を知りたい場合は、下記のリンクからご参照ください。電子書籍も作成しました。

iBooksバージョン(Apple Books




Kindleバージョン(Amazon


(関連コンテンツ) 
医療統計学が難しい理由
現場で役立つ医療統計スキル習得のための最短経路
臨床論文に出てくる試験デザインの分類と種類
文献によく出てくるt検定の種類、3つ。
検定の多重性について
標準偏差が分かるための正規分布。確率分布を理解して疑問を解決。
サブグループ解析でのハザード比(HR)の読み方
カプランマイヤーなどの生存時間解析で試験の背景比較がよくない訳
どれをインストールしたらいい?医療で使える統計解析ソフトウェア6選
電子書籍「医療統計入門 〜統計の基礎からt検定、 分散分析(ANOVA)まで〜」(iBooks/Kindle)

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)2022年5月5日



photo by NIAID

2022年5月5日の情報に基づき記事を作成しています。
内容については精査しておりますが、最新の情報をご確認上ご判断ください。


 新型コロナワクチンに対して、出所の確かでない情報やデマが溢れると、情報が埋もれると思い暫く投稿を控えていました。この間に政権も変わり菅さんから岸田さんに総理大臣も代わりました。総裁選の手前で実行再生産率が下がっていたけれど、実感としてはまだ山を超えていない感じがしたのを覚えています。下記にリンクに新型コロナワクチン1日100万回の設定理由(50:16〜)を述べられています。問題の整理、課題の設定、そして、実行力が物凄くあったことが分かりました。



    【ノーカット】菅首相が記者会見 緊急事態、全面解除へ(2021/09/28 にライブ配信50:16〜)


菅元首相に関しては、不妊治療の取組についても、このコロナ禍で達成しています。病いだけでなく、生に関しても本来見ていくべきことなのだと思います。



現状、オミクロンも含めて、新型コロナ対策は行政の資料も充実しています。 ただ、連休などに喉が痛くて発熱外来に罹ろうとしてもなかなか受診させてもらいないようです。かかりつけのあり方が問題になりそうです。このコロナを契機として、医療のあり方も変わっていくのかもしれません。



新型コロナの行き先はまだまだ予断を許しませんが、感染しやすくなっている代わりに、致死率が低くなっていることなどウイルスそのものの性質が変わってきているようにも思えます。参考までにインフルエンザワクチンではWHOの推奨や感染研で株を予想して流行する前に接種するようなスケジュールになっています。


資料の3枚目を御覧ください。上に基本的な流れということで、ワクチンの製造までや販売開始までの大まかな流れを記載しております。まず、WHOで推奨株が決まります。吹き出しにありますが、今年は2月26日にその結果が公表されております。その右側は、メーカーのほうでそれぞれの株の増殖性などを検討いただいて、製造効率を含めて感染研で、どの株を推奨されるかを御検討いただいています。さらにその右は、今日の会議ですけれども、インフル株の小委員会で製造株を検討いただくということで、決まりましたらメーカーに製造いただいて、秋から販売が始まるというような流れです。


インフルエンザは9月~4月のシーズンで流行を見ていくような感じですが、季節性という訳でもなさそうですし、新型コロナの場合はどの期間で変異を見ていくのでしょうか。

ただ、今は治療薬も出てきているようなので、戦略が多少変わってくるのかもしれません。



新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)が引き起こす社会的な問題があるように思います。 大きく分けて、イノベーションを起こす仕組みと社会経済を発展させる仕組みを考えないといけません。2つはねじれの位置にあり、交わることはないです。イノベーションはいつか機会があれば、別に書きますが、イノベーションは犠牲の上に成り立つもので、社会経済の発展は全体の利益の底上げだからです。社会経済の発展には、雇用増大の出発点に何を置くのかが重要になります。道路の補修でも、防潮堤の建設でもいいのですが、一般的には公共事業への投資が手取り早いと言われています。ただ、日本の技術は優れていて、東日本大震災の時でも、主要な道路は数日で復旧している実績があります。それを技術を持たない人たちが参加できるようにするのは、何らかの工夫がいるように思います。トリクルダウンという言葉には何か意図的なものを感じます。前提となる中抜きをさせない工夫が今後必要になるのではないでしょうか。中抜きさせないためには、事業をコントロールする人が事業について相応の理解をして、自分で汗をかく必要があるので、難しいのかもしれません。公共事業に限らず、持ち回り人事などは不可能だと思います。(例えば、高度な銀行業に関しても分からない人が間に入ると容易に嘘や誤魔化しが入ります。)


(関連情報)
新型コロナウイルスの新規感染者数増加について(2020/8/10)
医療統計から考えるアビガンのマーケティング戦略(新型コロナウイルス)(2020/6/6)
新型コロナウイルスの第2波(第3波)について思うこと(2020/5/30)
新型コロナウイルスについて(2020/1/27)
臨床論文に出てくる試験デザインの分類と種類

2021/02/16

最近の話題(医療ドラマ、イトラコナゾール、GoToトラベルなど)

 


最近、気になっていることを雑記的に書いていきます。取り止めがなくなってしまいました。


なな色健康家族(主演/森七菜さん)


インスタグラムが前触れもなくアカウントごと削除された森七菜さん。どこかで最近の姿がないかと思っていたら、ありました。日本医師会が制作したミニドラマ「なな色健康家族」で、森七菜さんが主演しています。テーマは、医療関係らしく、「かかりつけ医」「がん検診」「風しんの抗体検査・予防接種」「准看護師」となっていました。

最初に音楽番組で出たのを見た時には、何が魅力か分からなかったし、ヒロインの妹役も吉岡里帆さんのように丸メガネで二番煎じ的な印象を受けていました。でも、「この恋あたためますか」あたりでしょうか。いつの間にか気にるようになっていました。


森七菜さんプロフィール
2001年8月31日生まれ大分県出身。2016年に大分県でスカウトされる。2019年7月に公開された映画『天気の子』のヒロイン 天野陽菜役に抜擢。



睡眠誘導剤の混入したイトラコナゾール


コロナのためか、全然話題になりませんが、水虫の飲み薬に眠たくなる薬が間違って入っていました。水虫の薬を作るときに間違い、流通に乗ってしまったとのことです。実際、患者さんの手元まで届き、薬を飲んで運転して事故になった方もいます。


薬が生産から販売までの垂直分業ではなく、水平分業になっていることが問題ではないかと思っています。(水平分業は専門性が高まると生じますが、結局会社間のやりとりになった時にブラックボックス化するのが本質的な問題と考えています。)今や製薬企業にブランドだけが残り、生産などを外注していることが多くあります。販売会社が異なっても実は同じ製品を作っていたと言うようなことも出てきます。


製薬企業で管理していると思っていても、このような事態が起こります。手順が正しく踏まれていたのか、どこで間違いをチェックできなかったのか、スルーしたのは何故なのか、いろいろ考えさせられます。


こう言う話題が出ると、薬が偽物であったときの怖さが分かります。


少し別の話になりますが、今回のように別の物が入っていたら。例えば、えらく勧められて、効くと思っていた薬が効かない物だったら。薬をどこでも売れるようにしたいとか、過度に利便性を追求すると、いろいろな物が見えなくなります。今回の場合は、正規品の中身がすり替わっていると言うもっと恐ろしい状況です。見た目だけでは粒々で分からないとはずです。 


(2021年4月25日追記)
ヒューマンエラーと言われたら、現場の人がかわいそうになります。「再発防止策ではなく、製薬企業として新たに生まれ変わること」ともありました。


小林化工株式会社「調査委員会による調査報告について」

そういえば、日医工はどうなったのでしょう…。



Go To トラベルとCOVID-19


(若干、と言うか、ほとんどポエムです。診断のための検査ではなく、防疫のための検査をGoToトラベルに適応するとどうなるかシミュレーションしてみました。)


移動する人がほぼほぼ間違いなく陰性であることを確認でき、かつ、旅行中の接触者が誰か把握できるような仕組みを持てれば、安心してGoToトラベルを再開させることができます。


防疫的な検査体制は、余裕がない時には優先順位が求められます。重症化リスクを避ける意味では、病院・介護施設の職員・患者・利用者などが優先される方がいいでしょう。防疫的検査体制が逼迫している場合は、空港>病院・介護>GoToの順になるのが自然で、GoToを再開する時期は、医療機関の逼迫はいつ収まるのか、医療機関・介護などの施設での防疫体制はいつ整うのか、いつGoToトラベルに体制を回せるのかを順に追っていくと大体予想できます。


国内旅行であったとしても、普通の人が、海外へ旅行に行く時に求められる基準からGoToトラベルの支援をすることを想定してみます。感染の広がりを抑えるには、律令国時代の関所ではないですが、文化圏の近い地域でブロックに分けて、小さい地域から徐々に往来を試みるようにすれば、感染が広く飛び火することもないでしょう。万が一、うまく行かない場合も検証ができます。


GoToトラベルに行く直前や例えば1週間に1度定期的に検査を受けていることなどGoToトラベルの適応を認める条件をきちんと決める必要があります。ただ、陰性の証明として、PCRを使用したとしても、GoToトラベルとして補助金を国が出すのであれば、機器や検査手技によってバラツキがないようにする必要があります。防疫を本格的に行おうとすると、どこまでの検査機器、検査会社の補助を認めるかなど、科学と為政のぶつかる可能性があります。


検査証明や行動履歴をどのように管理するかと言う問題もありますが、コールセンターや支店を持っている旅行会社が積極的に関わってもらうようにしたいです。(割引)チケットを販売しているのであれば、GoToトラベルに限らず、移動に伴う社会的な責任があるように思います。コロナも長期化しているので、保健所などのノウハウも蓄積されているのではないでしょうか。コールセンター業務は、応対マニュアルがあるはずなので、行動履歴など保健所で行っているような項目を追記すれば簡易なデータベースはできるように思います。発券のための業務管理系のシステムがあれば、大規模にシステム改修をしなくても、備考欄とか文字列を入力できるスペースが通常はあるように思います。保健所が確認したい時に、旅行に関してはすぐに追跡できるようにしたらいいと思います。


もう少し医療の逼迫や重症者の問題が落ち着いたら、GoToトラベルへの風当たりの強さと言うか不安の原因を一つ一つ摘み取っていく必要があると思います。飲食での休業要請のように感染者数を減らす効果は左程ないかもしれませんが、GoToトラベルを行うのであれば安全は担保したいところです。


GoToイートは正直よく分かりません。現状はポイント付与の方法を事業者に聞いて、外食させようとしているように見えます。20時以降の飲食を停止している現状と矛盾する施策にも見えます。感染防止はともかくとして、防疫にどうしたらつなげられるのか、そのような視点がないように思います。


(このような文章がそもそも需要あるのか疑問ですが、医療機関、介護施設などについても書きたいと思っています。)

2020/12/06

新型コロナウイルスのワクチンについて考える



photo by NIAID

2020年12月6日の情報に基づき記事を作成しています。
内容については精査しておりますが、最新の情報をご確認上ご判断ください。



ワクチンの意義とは


ワクチンには2つの意義があります。1つ目の意義はワクチンを受けた人がその感染症から身を守ること(感染予防・発症予防・重症化予防)が出来ることです。一般に、ワクチンで予防できる病気をVPD(Vaccine Preventable Diseases)と言います。もう1つの意義は、社会全体から感染症を排除を目指すということです。前者を個人的防御、後者を社会的防衛と言います。


日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」



安全性について(副作用?副反応?)


メディアに登場する(自称)ワクチンの専門家を見分けるリトマス紙が1つあります。ワクチンの安全性を「副作用」というのか、正しく「副反応」というのかです。


「副作用」と「副反応」は混同して使うには、物事の議論を変な方向に誘導する危険があります。医薬品における副作用とは、イメージの通り薬の効果以外に(発熱とか)有害な出来事がその医薬品に起因して起こることを言います。医薬品は治療に用いるものなので、病気の人が使います。 その一方、ワクチンでは接種された人に感染を防ぐ仕組みを作り(免疫を誘導して)目標とする病気(VPD)に罹らないようにします。「副反応」とは、ワクチンによる効果以外の反応のことを言います。ここで重要なのは、ワクチンは感染していない人(いわゆる健康な人)に打つということです。


健康な人に病気を防ぐためにあえてリスクを取る、これがワクチンです。ワクチンで副作用と言う言葉を使う場合、個人的防御として考えているように思いますが、社会的防御を考えたときにはこの意味が180度異なります。


これを理由もなくわざと混同させるのは罪作りのような気がしますが、意識せずに使っているのであればそれ以上に問題があると思います。


ただ、下記の厚生労働省も行政の方も「ワクチンの接種は、感染症を予防する効果が期待される一方で、副作用による健康被害を、極めてまれだが、完全に回避することは難しいというリスクもある。」とか「開発中のワクチンの副反応(副作用) 」と「副作用」となっているので、一般国民に理解しやすくするためなのか、どうなのか一度聞いてみたいところではあります。会議資料は全て副反応になっているので、理解のためなのでしょう。



さておき、感情をなるべく抑えて、理性だけで考えてみます。ワクチンによる副反応が不可避だとしても、「ワクチン接種による死亡・重篤な副反応」数が「感染症による死亡・重度の後遺症」数を下回るのであれば、積極的にワクチンを打つことがいいことが分かります。重症者が減れば高度な医療を必要とする数も減りますし、医療資源に関わる部分でもプラスに働くと思われます。


  • ワクチン接種による死亡・重篤な副反応 < 感染症による死亡・重度の後遺症


一方で、自分や子供たちがワクチンを接種すると考えると、途端にこの不等式が成り立たなくなります。これまで日本でもワクチンの副反応は裁判にまでなっています。

社会全体のバランスを考えた時、社会的防衛を達成するために、関係者や行政側が心血を注いできた歴史とも言えます。極めてデリケートな問題だと思います。


新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴って、これまで想定しなかったような事態になっています。「ワクチンの有効性と安全性のバランスを考えて…」というバランスの支点が少し動いてきたようにも見えます。


上記の不等式は単純化しましたが、実際には安全性のベースラインはどこにあるのか。有害事象と副反応の切り分けなど考慮しないといけない点は多々あります。




ワクチンの専門家はどこにいるのか


ワクチンは小児科領域でワクチンが扱われることが多いです。子育ての経験がある方は思い当たることがあるはずですが、生後直後から高校生くらいまで予防接種のスケジュールが詰まっています。日本小児科学会では予防接種のスケジュールなどが公表されています。



情報提供を行う医療広告と患者を目の前にする臨床は違うと思いますが、私は、感染対策や治療と予防接種は別分野だと感じています。医療広告でも、キャリアの中で様々な分野に関わることはあると思いますが、抗生物質や抗ウイルス薬を担当していることを理由にワクチンを担当することになることはあまりないように思います。ワクチンが病気になってからではなく病気になる前に対処することを目的としているからです。そのため要求されるスキルが異なります。



まとめとして


現在、話題に上がっている開発中のワクチンは実績のあるというか伝統的なワクチンの開発方法ではなく、核酸やウイルスベクター等の極めて新規性の高い技術が使われています。ほぼほぼ実用化し得るバイオテックが出揃っている状況だと思います。リコンビナントくらいまでは理解できるのですが、遺伝子導入的なものもワクチンと言っていいのか、正直、新規開発されているワクチンのメカニズムまで追いついていません。少し調べたらまた書くかもしれません。

(散々新聞やらニュースで取り上げられていますが、ワクチンのメカニズムは要は医薬品で言うところのプロドラッグのようなもののようです。2021.2.7)



反応事例について(2021.2.7追記)


ファイザーのワクチンで英国の2例と米国の1例のアレルギーを調べてみました。今回のアレルギーは添加剤(ポリエチレングリコール誘導体)が原因のようです。添加物(及び交差反応)のアレルギーに注意となります。エピペンなどの対応方法も十分検討されているようなので、不要な情報かも知れませんが調べたので載せておきます。


コロナのワクチン副反応に関する総説とCDCのサイトになります。


2021年3月1日に日本アレルギー学会からもアナフィラキシーについての見解が出ていました。(3月6日追記)


(関連情報)
新型コロナウイルスの新規感染者数増加について(2020/8/10)
医療統計から考えるアビガンのマーケティング戦略(新型コロナウイルス)(2020/6/6)
新型コロナウイルスの第2波(第3波)について思うこと(2020/5/30)
新型コロナウイルスについて(2020/1/27)
臨床論文に出てくる試験デザインの分類と種類

2020/08/10

新型コロナウイルスの新規感染者数増加について(2020年8月10日)

photo by NIAID

2020年8月10日の情報に基づき記事を作成しています。
内容については精査しておりますが、最新の情報をご確認上ご判断ください。

東京都を中⼼として再び新規感染者数が増加


4月15日以降新型コロナウイルスの感染は一旦収束傾向を見せて、緊急事態宣言の解除及び段階的に様々な活動を再開してきました。しかし、6月から7月にかけて東京都を中心に再び新規感染者数が増加し、単純な検査陽性者数では緊急事態宣言下における時期を上回る報告が認められています。

厚生労働省の8月10日時点の陽性者数のグラフを見ても、数字が増えています。


陽性者数の最初の山が4月10日(708名)にあるので、グラフの山を平行移動させると下図のように大体、7月16日頃に重なります。正確には数学的な近似が必要かも知れませんが、陽性者数の増加具合を見ると、急激な上昇や緩やかになるというよりも綺麗に繋いだようなグラフになっています。移動した2月15日あたりが緊急事態宣言解除の時点になっています。

単純に陽性者数だけで感染状況を測れないという主張もあるようで、再度緊急事態宣言にならないそうです。

(厚生労働省HP:新型コロナウイルス感染症について概況陽性者数8月10日閲覧改変)



SARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査


全ての自治体ではないようですが、国立感染症研究所では新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム配列を確定し、感染クラスターに特有な遺伝子情報そしてクラスター間の共通性を解析しています。まとめの一部を抜粋します。欧州系統のコロナウイルスが自粛にも関わらず、軽症もしくは無症状の人でウイルスが残り、その後の感染の拡大を引き起こした可能性があるということです。

  • 欧州系統(3⽉中旬)から さらに 6 塩基変異を有しており、1ヶ⽉間で2塩基変異する変異速度を適⽤すれば、ちょうど3ヶ⽉間の期間差となり時系列として符合する。
    SARS-CoV-2 の変異速度は現在のところ 24.1 塩基変異/ゲノム/年(つまり、1年間で 24.1 箇所の変異が⾒込まれる)と推定)とされています。
  • この3ヶ⽉間で明確なつなぎ役となる患者やクラスターはいまだ発⾒されておらず、空⽩リンクになっている。この⻑期間、特定の患者として顕在化せず保健所が探知しづらい対象(軽症者もしくは無症状陽性者)が感染リンクを静かにつないでいた可能性が残る。
  • 6⽉下旬から、充分な感染症対策を前提に部分的な経済再開が始まったが、収束に⾄らなかった感染者群を起点にクラスターが発⽣し、地⽅出張等が⼀つの要因になって東京⼀極では収まらず全国拡散へ発展してしまった可能性が推察された。

(出典: 新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査2 (2020/7/16現在))


新型コロナウイルスは、症状のない個人によっても感染する能力を持っていることが知られています。ウイルスの脱落は、症状が始まる少なくとも24〜48時間前に起こり得、症状発症時にピークを迎えると考えれられています。初期曝露から症状発現までの期間現在の推定値は、中央値が5日ぐらいというデータもあります。ここから感染リンクを静かにつないでいた可能性を考慮するということで、ざっくり計算すると、5日〜7日で一人に感染させるとして、3ヶ月で12人〜18人程度無症状で広がったということになります。(実際には1人が複数に感染させることもあるはずです。) 

夜の街関連に行き着くまでに、例えば、陽性になった方(1)がいて、その大学での友達(2)、友達の友人(3)、友人の両親(4)、両親の職場(5)、職場の出入りの人(6)、出入りの職場の人(7)。これくらいでも、7ステップです。最初に陽性になった人は出入りの職場の人とほぼほぼ面識ないように思います。



医療マーケティングから考える新型コロナウイルス下の経済


社会学者のエヴェリット・ロジャースが普及曲線として、イノベーターやマジョリティの概念を数学的に表しました。この概念を使うとコロナ禍はどのように表されるのでしょうか。まず、人や店によって、感染症の対応がまちまちだという印象です。また、どんなに注意しても、自粛中、動く人は動くし、もう大丈夫だと言っても動かない人は動かないということがあります。三密を回避したから、行動を8割自粛したからというより、動きにくい人まで感染に対して注意を払ったことも一因のように思います。パチンコ店の自粛が象徴的でした。末尾に参考を記載しました。


もう一つ、「経済の問題=コロナ禍以前に戻すこと」と考えると、チグハグなことになると思います。無症状や発病前の人がいるので、経済対策の目的を「感染拡大により失われた観光客の流れを地域に取り戻し、観光地全体の消費を促すこと」とすると、この流れの中に、感染した人が紛れ込む状況が考えられます。新しい経済を作らないといけない状況なのに、旧態依然としたものをサポートしているように思えます。
スポーツやイベントがなくなると、テレビもコンテンツがなくなるということも今回よく分かりました。


経済と医療が対立するものではありません。経済の問題をコロナ禍でも貨幣・情報が流通することとして、全体を組み直した方がいいように思います。


【参考】wiki普及学より加筆・改変(非常事態宣言解除後のウイルス感染の状況に当てはめてみる)

  • イノベーター(2.5%): 新しいアイデアや技術を最初に採用するグループ。リスクを取り、年齢が若く、他のイノベーターとも交流する。リスク許容度が高い。→ いわゆる夜の街
  • アーリーアドプター(13.5%): 採用時期が2番手のグループ。オピニオンリーダーとも言われ、他のカテゴリと比較すると周囲に対する影響度が最も高い。年齢は比較的若い。経済的に豊かで、教育水準は高く、社交性も高い。イノベーターよりも取捨選択を賢明に行い、オピニオンリーダーとしての地位を維持する。→夜の街に通う人の友達・職場仲間
  • アーリーマジョリティ(34%): このカテゴリの人は一定の時間が経ってからアイデアの採用を行う。アーリーアダプターとの接点も平均的に持つ。→アーリーアダプターの職場の家族・学校
  • レイトマジョリティ(34%): このカテゴリにいる人は、平均的な人が採用した後にアイデアを採用する。イノベーションが半ば普及していても懐疑的に見ている。→濃厚接触者の接触者、履歴不明のクラスター
  • ラガード(16%): 最も後期の採用者。他のカテゴリと比較すると社会的な影響力は極めて低い。変化を嫌い、高齢で、身内や友人とのみ交流する傾向にある。→何がなんでも気をつけている人


(関連情報)

医療統計から考えるアビガンのマーケティング戦略(新型コロナウイルス)(2020/6/6)
新型コロナウイルスの第2波(第3波)について思うこと(2020/5/30)
新型コロナウイルスについて(2020/1/27)
臨床論文に出てくる試験デザインの分類と種類